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素敵な戒名

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 親・兄弟・いとこだけで葬儀を執り行い、妻は骨になって月島のマンションに帰ってきた。
 うれしいことがあった。以下に説明する。
 戒名などというものはどうでもいいと思っていた。父親の戒名なんて、覚えていない。
 とくに妻には戒名なんて似合わないと思っていた。鈴木家の菩提寺は日蓮宗なのだが、住職に「戒名を付けなくてもいいか」と聞こうと思っていた。
 ふつう、戒名というのは坊さんが決めて、「はい、これですよ」と持ってくる。だが、うちの寺の住職はとても柔軟な、そして思いやりのある人で、候補をいくつか持ってきて、私と娘に決めさせてくれた。
 住職は妻とはほとんど面識がなかったが、新聞の訃報欄を見て下さっていて、また、住職の奥様には何度もお目にかかっていたので、奥様から話を聞いたらしく、「清純で美しい方だったようですね」と言い、破格の戒名を持ってきてくださった。
 きょう初めて知ったのだが、日蓮宗の戒名は ●●院妙●日●居士(大姉)という構成になっているのだそうだ。●には、故人の人柄を偲ばせるような言葉や俗名の一部を入れる。
 最初の部分については、住職が考えてくれたいくつかの候補から、娘と私で「清麗院」というのを選んだ。
 問題はその次で、住職は、妙●となるところをペンネームの「かり」としたらどうかと提案してくれたのである。そして日の後に貴志子の貴を入れたらどうか、と。
 ひらがなの戒名なんて、今まで見たことがない。 
「妙がなくてもいいんですか。ひらがなでもいいんですか」と尋ねると、「いいんです」というお答え。
 というわけで、「清麗院かり日貴大姉」という戒名を付けてくださった。
 これで「かり」という名前を墓に彫ることができる。住職の心配りがうれしくて、思わず泣いてしまった。


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